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人文系の情報学研究室

私の出身大学院に去年新設の情報・史料学研究室のwebページができていた。
情報技術の根底にある論理・数学をベースとした情報学の体制づくりをすすめているようだ。

私が哲学研究室に出入りしていたころには、まだなかったなぁ。しかし、倫理学研究室では「情報倫理の構築」プロジェクトが進行し、科哲研究室では論理学や科学史をベースとした科学の分析が進められていた。とうとう情報学を専門にやる研究室が立ち上がって、すでに2年目に突入しているということに軽く驚きを覚えた。

情報の哲学じゃない、情報倫理学でもない、哲学色は確かに濃いけれどそれとは一線を画した人文系の「情報学」だ。史料学ってのはよく分からないけど、いまのところ実質情報学の研究室のようだ。うひゃー。あの文学部のなかにどーんと情報学の研究室だよ。

大学院中心ということもあるのだけれど、京大の体制は「濃密」としかいいようがない。たった一つの研究室が独自の人材育成の体制を備えている。人材育成の体制といったけど、どうみても大学院生向けの体制で、学部生は自力で上がってこいの一言で片付け去られているかのようだ。驚愕。

こちらはプログラム制の中で、多数の教員がタッグを組んで教育に当たっており、いたせりつくせりの体制だ。こちらで学部教育を受けてから研究者を目指す者はあちらの大学院に進む。例えばそんなコースも見えてくる。

だが、情報学部では論理学・数学・英語論文読解・情報技術史などのトレーニングはほとんどない。IDの学生はどのくらいプログラムやアルゴリズムに親しんでいるだろう。向こうは大学院の授業にいきなり3回生を放り込んであとは自力で習得させる気だ。生き延びるためにもがきなさい、か。しかしそのカリキュラムの希薄さゆえにかえって漂う濃密さ。

こちらでも大学院の整備が進められているが、向こうは向こうでまたなんとchallengingな情報学なことか。うーむ。向こうとこちらで性格がぜんぜん違うのは面白いし学生にとっても自分にとっても良いことだと感じるのだが。それでもよく分からんままに心がかき乱される。
これは、見に行くしかなかろうな。