2006-01-01から1年間の記事一覧
自動車ってテクノロジーはなんだか下品な気がする。日本では、たくさんの人が自動車を利用し、たくさんの人が自動車産業に関わっているので言いにくい命題ではあるが(だけど私はそう思ってきた)。ただ、私自身も自動車に乗るようになり、またそのテクノロ…
教員同士の研究会でアーレント『人間の条件』(前半)の研究会があって、たいへん刺激を受けたので、忘れないうちに書いておこう。アーレントは古代ギリシャにおいて、公的領域と私的領域がはっきり区別されていたと想定する。そして、ここからは次回の研究…
「アイ・ロボット」という映画がある。眠れない夜になぜかこれを観る気になって鑑賞したので、ネタばれしない程度にコメントしておこう。人工知能、そしてロボットがこころを持ちうるのかという古典的なテーマを、アシモフの『私はロボット』(ハヤカワ)に…
思考停止については、批判によって対処できる。ただし、批判もまた思考停止的に生じることもある。私自身も何度も何度も、思考停止的に権力批判や資本主義批判、技術批判を繰り返してきた。それは批判と言うよりも、もはや単なる攻撃だ。それは動機がどうで…
小森陽一『レイシズム』とJ.ジェイコブズ『市場の倫理 統治の倫理』に共通するエートスがある。合理的な批判精神が倫理の戦略であるということ。小森によれば、レイシズム(人種差別など)は、特定の集団的特長に対して無根拠に価値付けされた言葉を、無批判…
最近、自転車を購入して街が近くなった。街にさっと出てちょっと用事を済ませて喫茶店で本を読んだりする。バスだと待つのも面倒だしお金もかかる。自動車だと駐車場も気になるし、騒音や排気ガスを市中に振りまくことなどで歩行者への引け目も感じる。歩行…
『あさきゆめみし』の宇治十帖。はじめて読んだ。・・「浮舟」が俗世から身を引く決意にいたるところがいまひとつ納得できない。ここの心理過程こそがこの話の核心なのに。「好きな二人の間で身が引き裂かれるー」とか悩みつつ、結局は「二人とも本当には私…
【事例】 1999年にスタートしたいわゆる「住基ネット」に対して、「個人情報保護に問題」として杉並区やいくつかの自治体は導入に反対ないし慎重な態度を示した。これに対して都と国は圧力をかけて住基ネットを強引に導入した。【point】 住基ネットは、すべ…
3-2 デジタル化のリスク【事例】Googleは、無料のweb検索サービスと、無料のメールサービス「Gmail」を提供している。Googleは両者のデータを持つため、両データを照合することが可能である。もし照合が実行されると、Googleはメールユーザーの検索履歴を特…
言語と倫理の問題に取り組んだウィトゲンシュタインの哲学の解説書を書いた野矢さんが、その解説のどこかで言語のことを「生の器」と書いていました(『論考を読む』です。たぶん。)。その言葉は、私にもなかなか共感できるのですが、都市もまた、われわれ…
そういえば先週は、静岡市で小さな学会で発表があって、その機会に街を歩きました。大道芸サミット?もあって、街はずいぶんにぎやかで華やかで、楽しげで、よかった気がしました。呉服町だっけ、粋な商店街で歩いていて楽しかったし、青葉通りという大通り…
週末、学祭がありました。わたしも学生たちといろいろ参加し、おかげでたいへん楽しかった。普段はわりと静かな静大の浜松キャンパスに、学内外の人があふれて、そういうのが好きな私にはたいへんうれしい光景、雰囲気でした。つねづね、浜松の街にも、静大…
というのは、アメリカの話。共和党の対アラブ政策には、ブッシュ親政権のころから私は懐疑的だったので、まずはよし、と思いました。これでブッシュ保守政権に対してリベラルな議会(新聞によれば「中道」勢力もかなり民主党支持にまわったらしい)が歯止め…
【事例】 代表的なオンライン書店であるAmazonでは、ユーザー一人ひとりの購買履歴や趣味、性別、職業など個人情報を蓄積しておき、このデータベースを利用して、顧客の一人一人のニーズに合わせたB2Cサービスを行い、大きな成功を収めた。【point】 顧客の…
IBMいまはlenoboのTPX41を3月に購入して使っていたが、今朝自宅のテーブルの上で作業中、突然ハードディスクがクラッシュした。幸い、基本的なデータは、研究室のPCやUSBキーに保存されているものの、朝からの作業の成果が一瞬でアクセス不能になるし、授業…
次は、難しい話題だ。これは市の命運をかけた大事業ということになる。やはり地下鉄が欲しい。市役所、繁華街、駅、できたら佐鳴湖や天竜川付近、中田島砂丘付近まで、地下鉄ができれば人はスムーズに流れ、各地に文化が育つだろう。街に、場所に応じた個性…
街中についても考えよう。浜松の町の中心街は、低地である沖積平野?部と洪積台地?の低い台地からなる。この取り合わせは、自転車での通行をやや不便にしている面もあるが、他方でこの町に変化を与えていて面白い面がある。浜松城などは、さすがにこの地形…
次に各論に移ろう。自然環境に合わせた町づくりという観点から、大まかな論点を私の視点からスケッチする。先日、バイクで浜松市内を走っていて、川を見かけた。馬込川だろうか? 大きさ的にも、場所的にも、なかなかよい川だと感じた。だが、夜だったせかい…
前回、浜松の町について書いた後、またすこし考えたので書いておこう。浜松の町は、北を南アルプス(の末端)、東を天竜川、南を太平洋、西を浜名湖に囲まれている。こんなに恵まれた自然環境に囲まれていながら、浜松の都市設計ではそれがまったく生かされ…
では、浜松はどうでしょう? 「品格」ってことをプラスの方向で話題にできそうな街並みは見当たらない。都市計画者たちは、それをどう考えているのだろうか。批判ばかりしてると悪いから、自分の考えも提示しておこう。私ならこう考えます。浜松の町には人々…
ってことを、ちょっと考えた。週末に京都に行って自転車を借りて、学生時代のようにふらふら街を走った。・・・楽しい!鴨川べりの爽快な道、昔ながらのベンガラ格子の街路、比叡山や北山を望む大路、ところどころに古いお寺があって、ところどころ人がたま…
さらに書きます。考えたい問いは、「善い悪いを意識せずに善い行為とみなされる行為をなすことは善い行為なのか」です。つまり、イメージとしては、すごく「無垢な」人がいて、その人はあれこれ悩まなくても、自然に、善いことばかりする、そんな天使のよう…
フロアから提題者に出された質問やコメントには、「現実」というのはわれわれに「迫り来る」もので、例えば否応なくわれわれを脅かす隣国のミサイルとか、街と秩序を突如破壊する大地震とか、そういうものだ。そこで倫理は何ができる!? そういうものが多か…
これが週末の学会でのシンポジウムのテーマでした。大きなテーマですねー。学会では3人の論者が発表されて、それぞれに代表質問者がかかって、最後にフロアから議論が出て、大いに盛り上がった。というか、充実した。というか、終わったときにはどっと疲れて…
最近、『はじめての・・・』原稿をアップするだけで自分の文章を書いてない。できるだけ、適当に折りまぜて近況とかエッセーみたいなのも書いていこうと思う。ここのところ、毎週末学会だの研究会だのがあって、楽しいけど忙しい。学問には「ゆとり」という…
2-2 個人情報保護の原則【事例】プライバシーポリシーを作ってみよう。どんな項目を入れればよいのだろうか?プライバシーポリシーでは、個人情報保護の基本原則を押さえつつ、自社の個人情報取り扱いの基本的な方針を宣言するのでなければならない。【point…
2-1 プライバシーと個人情報【事例】ビートたけしの『フライデー』襲撃事件は、著名人の私生活が覗き見られるといういみでのプライバシー侵害の典型的な事例としてよく知られている。他方、柳美里『石に泳ぐ魚』事件では、著名人ではない個人の情報の公開・…
たいへんお待たせしました「ガバナンス論」と同演習、「リアル・ヴァーチャル…」のレポートを返却したいと思います。「情報モラルデザイン」の方は、すみませんがもう少し待ってください。(11月ぐらい)私の研究室にJ2735またはJ2729に直接取りに来てくれた…
【事例】 「電車男」は「2ちゃんねる」の片隅で現実と平行して進行したラブストーリーだ。この幸福な物語は、掲示板上で本人の知らないうちに本人の個人情報が曝され、話題となっていることもありうる、という情報社会の一面をも示している。【point】 webペ…
1-2 フィッシング詐欺:収集される個人情報 経路の視点から【事例】Yahoo! JAPANフィッシング詐欺事件。2005年9月と2006年4月、ある無職の男性(34)がYahoo!オークションを装い、偽のメールで偽のYahoo! サイトに導いて入力させ、IDとパスワードを不正入手し…