blog2735

Yahoo!ブログ閉鎖によりYahoo!から移行しました。吉田の講義、考察などを書いていきます。

浜松市 自然とマッチした都市計画 海山川湖の生かし方

次に各論に移ろう。自然環境に合わせた町づくりという観点から、大まかな論点を私の視点からスケッチする。

先日、バイクで浜松市内を走っていて、川を見かけた。馬込川だろうか? 大きさ的にも、場所的にも、なかなかよい川だと感じた。だが、夜だったせかい、暗く、狭く、あまり惹かれるスペースにはなっていないような気がした。

提案しよう。浜松の町は豊かな自然に取り囲まれているのだから、東海道の通過点的な発想を脱して、この土地にちゃんと一つの秩序を構想して、宇宙を構成しようじゃないか。
あんまり人工的にあれこれ考えても仕方ないが、少なくとも町からちょっと自転車、バスなどで、海川山湖にすっとアクセスできるようにすること。そこにはちゃんと公園だとか、昼寝したりおしゃべりしたり、お茶したりできるような、ゆっくりできるスペースを確保しする。街中の問題はさておき、郊外をうまく町と市民生活に組み込むのは都市を考える上で当然だろう。浜松は、街中にゴージャスな建物を一生懸命建てるけど、もっと安いお金で、見てくれでなく、実質的に都市生活を豊かにする資源を生かすことができるはずだ。

また馬込川付近や佐鳴湖付近を、「適度に」囲い込んで、明るくて安全でかつ静かで和める空間にして、歩行者や自転車、公共交通機関を中心にアクセスを確保する。
仕事帰りにすこしぶらぶら歩いて、その辺のお店で買ったものを飲食しながら、ベンチででも休んで、さっと帰る。そういう「公共」の時空間を用意することが町づくりの基本で、そこを考えずに、大きな舞台装置を作っても何も育たないのは自明の理であろう。

ただし、公園の設計には絶妙のバランス感覚が必要だ。設計だけでなく、運用もまた重要なキーとなる。周辺住民、利用者、行政、企業やその他のアクターすべての息が合っていて始めて、素敵な公園が出来上がる。失敗すると、そこはご存知「死に」スペースとなる。思うに、公園こそ、町づくりでもっとも総合的な配慮と深い洞察力、そして勇気と実行力が要求されるテーマだろう。