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Yahoo!ブログ閉鎖によりYahoo!から移行しました。吉田の講義、考察などを書いていきます。

2015-01-01から1年間の記事一覧

情報社会思想2015 第9-10回 自己と物語、記号

情報社会思想2015 第9回 自己と物語 『精神・自我・社会』(ミード)、『モダニティと自己アイディンティティ』(ギデンズ)、『自己と「語り」の社会学』(片桐) 第10回 言語ゲーム 『哲学探究』(ウィトゲンシュタイン)、『シミュレーションとシミュ…

情報社会思想2015 第8回(授業資料) 社会構成主義

情報社会思想2015 第8回(授業資料) 社会構成主義 『現実の社会的構成』(バーガー&ルックマン)、『社会構成主義とは何か』(上野)、『ジェンダー・トラブル』(バトラー) 前回は、監視・管理社会についての思想をまとめて紹介した。「監視・管理…

情報社会思想2015 第7回(授業資料) 監視・管理社会論

情報社会思想2015 第7回(授業資料) 監視・管理社会論 ・ 監視社会論 『監獄の誕生』(フーコー)、『監視社会』(ライアン)、『監視ゲーム』(ボガート)、『1984』(J.オーウェル) ・ 第7回 管理社会 「管理社会について」『記号と事件』(ドゥル…

情報社会思想2015 第4回(授業資料) オープンの思想

情報社会思想2015 第4回(授業資料) オープンの思想 『フリーソフトウェアと自由な社会』(ストールマン)、『伽藍とバザール』(レイモンド)、『コモンズ』(レッシグ)、『動物化するポストモダン』(東) ・ 『ハッカーズ』(スティーブン・レヴィ…

情報社会思想2015 第3回 「ハッカー倫理」

情報社会思想2015 第3回(授業資料)ハッカー倫理 『ハッカーズ』(レヴィ)、『ボランティア』(金子)、『ハクティビズムとは何か』(塚越)、『リナックスの革命』(ヒネマン) 『ハクティビズムとは何か ハッカーと社会運動』(塚越健司、ソフトバ…

情報社会思想2015 第二回「コンピュートピア」

第2回(授業資料) 「情報社会」とは何か? 『コンピュートピア』(増田)、『情報産業論』(梅棹)、『第三の波』(トフラー)、『インターネットの思想史』(喜多) 思想分類の軸 技術思想の分類軸 ・ 技術決定論/技術中立論 ・ 技術楽観論/技術悲観論 社…

情報社会思想2015 内容とスケジュール

「情報社会」は、「近代社会」の次の時代になると考えられてきた。こうした、「情報社会」についての思想は、じっさいに情報社会を構想し推進する、あるいはコントロールし、方向転換する力となり、いまもなお、サービスや商品、政策などを通じて私たちの生…

日本の思想 14 自然と言葉  『蟲師』「山抱く衣」より

【哲学2015】 日本の思想 14 自然と言葉 『蟲師』「山抱く衣」より 哲学史に沿って哲学の基本概念や考え方の典型などをざっと概観した後、「作品から哲学的に考える」 に挑戦してきました。本日は最終回。私自身の哲学的課題にも関わるテーマで行きま…

日本の思想 13 日本的共同体と自然  『蟲師』「草を踏む音」より

【哲学2015】 日本の思想 13 日本的共同体と自然 『蟲師』「草を踏む音」より 前回は『蟲師』「錆の鳴く声」(原作3巻、アニメ23話)から、日本的共同体における「異常」性の排除と受容の文化を考えた。一般に、日本社会は比較的均一であり、しかも…

日本の思想 12 日本的共同体と異常/正常  『蟲師』「錆の鳴く声」より

【哲学2015】 日本の思想 12 日本的共同体と異常/正常 『蟲師』「錆の鳴く声」より 前回は『蟲師』(原作1巻、アニメ5話)「旅をする沼」から、共同体に同化する個人、あるいは個人を飲み込む日本的共同性という思想について考察した。 日本的共同性…

日本の思想 11 個人と公共性、そして共同性  『蟲師』「旅をする沼」より

【哲学2015】 日本の思想 11 個人と公共性、そして共同性 『蟲師』「旅をする沼」より 前回は『蟲師』(原作3巻、アニメ9話)「重い実」から、個人と社会の関係性を見た。「重い実」では、村のために自己を犠牲にする「祭主」とその精神を継ぐ弟子、そ…

日本の思想 10 個人と社会  『蟲師』「重い実」より

【哲学2015】 日本の思想 10 個人と社会 『蟲師』「重い実」より 前回まで、『蟲師』「海境より」「一夜橋」、そして永井均『マンガは哲学する』の「もうひとりの私-高橋葉介「壜の中」」などから、一人称の主体としての<私>の問題について考えた。…

日本の思想 9 <私>と主体  『蟲師』「海境より」

【哲学2015】 日本の思想 9 <私>と主体 『蟲師』「海境より」 『蟲師』「海境より」(原作3巻、アニメ12話) 男は、数年前、婚約者を海で見失う。彼は、海境で見失った婚約者を待ち続ける。数年後、男はギンコと共に、蟲の生み出す不思議な現象の…

日本の思想 8 身体と人格、他者 『蟲師』「一夜橋」

【哲学2015】 日本の思想 8 身体と人格、他者 『蟲師』「一夜橋」 前回は、『蟲師』「暁の蛇」(原作5巻、アニメ16話)から「記憶」そして「人格の同一性」について考えた。 記憶は、ベルグソンの哲学で見たように「時間」と「意識」との関係が深い…

【哲学2015】 日本の思想 7 身体と人格 『蟲師』「暁の蛇」

【哲学2015】 日本の思想 7 身体と人格 『蟲師』「暁の蛇」 前回は、『蟲師』「沖つ宮」(原作5巻、アニメ22話)などから「時の流れ」について考えた。 時間論について、「露を吸う群」についてのレポートについて、すこしコメントしておく。レポー…

日本の思想 6 時間論 『蟲師』「沖つ宮」

【哲学2015】 日本の思想 6 時間論 『蟲師』「沖つ宮」 「時の流れ」に関係する第三弾。前々回は予知夢の話、前回は体内の時のリズムについて考えた。今回は、『蟲師』「沖つ宮」(原作5巻、アニメ22話)、そして内山節の「時間」論・「過去」論(『…

【哲学2015】 日本の思想 5 時間論

【哲学2015】 日本の思想 5 時間論 『蟲師』「露を吸う群」 前回は予知夢を見る男の話から、予知(技術)と決定論、自由意志の問題、自己と無意識の関係、専門家による科学と技術の管理について考えた。今回、次回は、『蟲師』「露を吸う群」(原作2巻…

『蟲師』の思想1 「枕小路」

【哲学2015】 日本の思想 4 『蟲師』の思想1 「枕小路」 前回まで、西洋哲学の基本的概念を古代、近世・近代、現代と確認してきた。「魂」「イデア」「観念」「意識」「主観」「社会」「他者」「自然」といった概念を確認した。今日からは、これらの概…

『蟲師』3 「柔らかい角」

『蟲師』3 「柔らかい角」 すべての物音が雪の中に消失したかのような雪深い里の冬、耳がおかしくなった村人たちをギンコが救う。 あまりに静かな雪深い里を訪れたギンコは、音が聴こえなくなった村人たちの耳に音を食べてしまう「吽(うん)」」という蟲を…

【哲学2015】 日本の思想 3 現代

本日は、西洋哲学の基本的概念のつづき、現代編である。ひきつづき、伊藤邦武『物語 哲学の歴史 ――自分と世界を考えるために』(中公新書)を参考にする。現代は、「認識と意志に代表される内面を持つ人間存在(近代的個人)」を中心に世界を考える思想が、…

哲学2015 『蟲師』2 「瞼の光」

『蟲師』2 「瞼の光」 スイは目にマナコノヤミムシという蟲が入って盲目になっており、倉に閉じ込められている。だが、盲目であるがゆえに、第二の闇というべき静かな暗闇のなかで蟲の世界をみることができる。しかし蟲を見つめすぎると、目玉を喰われてし…

【哲学2015】 日本の思想 2 「西洋近代の基本概念」2015年4月21日

【哲学2015】 日本の思想 2 本日は、西洋哲学の基本的概念のつづきである。ひきつづき、伊藤邦武『物語 哲学の歴史 ――自分と世界を考えるために』(中公新書)を参考にする。近代は、キリスト教的な世界観の影響とこれとの対立の中で、自然物とは異なる…

鑑賞&検討2015 『蟲師』 1 「緑の座」

鑑賞&検討 1 『蟲師』 1 「緑の座」 物語の要約 創造主の力を持った少年シンラとその管理者としての祖母廉子の再会の物語。 この物語では、「蟲」は一般的な生命よりも原始的な半生命で、通常は人には見えないが、現象に作用することで、さまざまな「超常…

【哲学2015】 日本の思想 2  「哲学の基本概念1」

日本の思想を検討するに先立って本日は、その道具立てとして、西洋哲学の基本的概念にざっと目を通しておこう。哲学は、人間にとって大切な概念を見つけたり、吟味したり、整理したりする営みということもできる。だから、今日紹介する哲学的概念は、西洋哲…

【哲学2015】 日本の思想 1 「ガイダンス」

2015年度 静岡大学の全学の教養科目「哲学」のコンテンツを載せていきます。 私は、学生時代、パスカル、ウィトゲンシュタインの思想を、理性や言語の力とその限界という観点で研究しました。方法としては、伝統的な文献研究によるアプローチで、テキスト解…

Bay Area Social Science Seminar主催の講演会(@UC Berkeley) 「物語のガバナンス」(吉田寛)

下記で発表しました。発表資料をアップしておきます。 さしあたりかきURLからダウンロードできます(2015年3月5日ごろまで)。 http://xfs.jp/KNTM39 ------------------------ Bay Area Social Science Seminar主催の講演会(@UC Berkeley)のお知らせ 演…

北大 山スキー部(Hokkaidou University Schi Verein) Video:自由と文化

私が大学時代に所属していた部活動の活動ビデオがアップされていました。 撮影の上手な現役がいるらしい。 BGMまでつけちゃって、でかした!! 2013年 北大山スキー部 新歓PVネット配信ver(自由な滑走がすばらしい) https://www.youtube.com/watch?v=shUp2…

書評:高岡智子『亡命ユダヤ人の映画音楽』(ナカニシヤ、2014)

高岡智子『亡命ユダヤ人の映画音楽 ~20世紀ドイツ音楽からハリウッド、東ドイツの軌跡』 (ナカニシヤ、2014年) http://www.amazon.co.jp/dp/4779508517 現在われわれが親しんでいる映画音楽、いわゆるBGMのルーツはどこにあるのだろうか。本書は、『スタ…

クレーメルのメッセージ G. Kremer in Berkeley 2015

バークレーのFirst Congregational Churchで2015年1月に開催された、ギドン・クレーメルとダニール・トリフォノフのリサイタルは、現代文明における人間性の混迷をシリアスに受け止めつつも、西洋近代音楽史の流れの中から小さな希望を拾い集めようとするよ…

Berkeley Fantagy

ノースバークレーの高級住宅街を散歩し、ダウンタウンバークレーでホームレスに目をやり、UC バークレーの「フリー・スピーチ・ムーヴメント」カフェの横を通り過ぎる。 何を結論すべきなのか。UCのカフェで「格差」について語るべきなのだろうか。あるいは…