blog2735

Yahoo!ブログ閉鎖によりYahoo!から移行しました。吉田の講義、考察などを書いていきます。

『哲学』(前期 共通) 報告

この授業では、古代から現代までの思想家を毎回1人か2人づつ、「善く生きる」ということと「社会づくり」という観点から、紹介しました。

評価
ミニレポートが3回×期末課題(A)レポート試験「人間らしく生きる」「人間らしく生きることができる社会」か、B)参考文献を読んで要約+論評のどちらかを選ぶ)

採点基準
授業や文献の理解+それを土台とした議論構成。

レポートで気がついたこと
デカルトの倫理観やカントの倫理観を、普遍的理性による自律的判断と他者の尊重という仕方で支持し、その立場から功利主義や宗教的立場を批判する議論多数。説得力のある議論もありました。

レポートで気になった誤解
自由主義共産主義の比較&論評という課題で、自分の固定観念で議論をつくってしまっていると思われるもの多数。社会主義=独裁政として自由主義=民主主義を対比させたり、社会主義では収入は均一(??)だとか、自由主義なら人は自由で個性が尊重されるとか、極端でプロトタイプなイメージが授業で紹介した理念や議論を超えて、さらに理念との関係も忘れられて、独断的に展開されているのが目に付きました。
また、功利主義(効利ではありません!)は「社会全体の」利益を尊重する立場であるはずなのに、なぜか私利私欲による判断を肯定する倫理として受け取られていたり。

授業へのコメント
時代背景も含めていろいろな考えを対立させながら知ることができたことに満足。
もっと絞って詳しくやって欲しかった。これと対立しますが、紹介された思想家以外にもニーチェや東洋思想などが聞きたかった。→難しい。。

今期の反省と課題
複数の思想の対立点をしっかり構成することで、批判的に考えつつ理解していく材料が提供できる。ただし、誤解されやすい点をもっと丁寧に解説する必要がある。とりあげる思想については、広く浅くでいくのか狭く深くでいくのか、難しいところ。今年は比較的広く浅くを目指し、興味を持った点は各自で紹介した文献を読んでもらうというスタイルでした。

「人間らしさ」「社会づくり」についての私自身の哲学的立場については、このブログやリンクを張ってある「物置き」の資料で見てください。最近は、情報社会論のようなことを考えています。
http://www.geocities.jp/yoshida_inf/siryo/game.htm