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Yahoo!ブログ閉鎖によりYahoo!から移行しました。吉田の講義、考察などを書いていきます。

松菱跡地問題 「ホームレス問題」について

そろそろ書きます。説教くさい話ですみません。

グループ・ディスカッションで、「ホームレス」と呼ばれる人たちがいることについて、「問題」と捉えているグループがいくつかありました。ブログでも書いてくれました。確かにそうかもしれません。でももし、なぜ? と聞かれて正当な答えが出せなかったら、それは恐ろしいことだと思いました。周りがそう言っているから。怖い気がするから。そういう理由だけで、特定の状況にいる人の存在を「問題」視するのは、「思考停止」といって、差別や迫害が生じるパターンであるといわれます
(例えば、『レイシズム小森陽一、岩波、参照)。

「ホームレス」がいるとほんとにダメなんでしょうか? 「ホームレス」であることは「悪いこと」なんでしょうか? なぜ市民は家を持たないといけないのでしょうか? 日本はいつからそういう国、社会になったのでしょうか? なぜ?
公園で寝てはいけないのでしょうか? 歩道脇とか。なぜ?
本当に、「ホームレス」の存在と治安の間には問題にすべき因果関係があるのでしょうか?
それがはっきりしないうちに、それとして議論し、決定することは善いことなのでしょうか?
私は、家を持たない人よりも、そういう人を恐れます。
この議論は、この「問題」を論じる者と同様に、人権を持った、またそれぞれに人生を持った、大切にしているものがあったり、そんな一群の人間たちの運命を論じているのです。
授業でのシミュレーションですから、あえて難しいことを言わずに済ませてくれたのかもしれません。
ただ、そういうことを何も考えることのない市役所の職員とか、責任ある立場には、なりたくはないですよね? 

私としては「ホームレス」の「問題」なるものが、ないとはいいません。でもそれが議論されていたような形で理解されてよいかどうか、そこが気になりました。

ところで、「ホームレス」の人と話したり、公園で泊まったりしてみたことはありますか?
「ホームレス入門」なんてwebサイトもあるようです。http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/kirokubungaku/kiroku.htm

倫理とは相手の表面を越えて相手に至ろうとする想像力なのではないか、と、鴨川べりの小道で、いつか私の友人は言いました。「ブラジル人」「ヤンキー」「被差別部落」についても、この機会に同じことを考えてみてもらいたいというのが私の希望です。