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Yahoo!ブログ閉鎖によりYahoo!から移行しました。吉田の講義、考察などを書いていきます。

東日本大震災 被災地支援活動 今後に向けて

支援活動は、若干遅れつつもいずれもわれわれの計画通り、いや、多くの方の力を得て計画を超えて、進んでいます。
現地の復興自体はまだ緒についたばかりなのですが。

いま、ここまでの活動の現状と活動の今後について、あくまで個人的な思いを書きたいと思います(われわれJSIS-BJK災害情報支援チーム全体としてどう動くかは、必ずしも私が書いた通りに進むとは限りませんが)。

1:りんごラジオはこれまで災害ラジオとして大きな役割を果たしてきました。
ラジオを主催する高橋さんは、いま今後に向けての活動を考えています。
そして私や仲間の何人かは、こういう高橋さんの活動にぜひ力になり続けたいと思っています。

例えば、放送記録のアーカイブ化、ブログの継続、コミュ二ティラジオとしての持続的な放送による復興支援など。
メディアが地域と復興という課題を共有し、人びとの共有体験と出会いの場となる、そんな一つの理想が企図されています。
これは小さな町の小さな試みかもしれませんが、じつに大きな価値のある試みです。

2:我々の教育プロジェクトは、町の中学校での授業への洗浄作業組み込みという形で始まりました。
いま、中学校の方から洗浄作業の継続やデジタル補正作業への参加、洗浄済み写真返却イベントの企画など、積極的な提案が出てきています。
私たちは、こうした中学校の取り組みを支援していくつもりです。
被災地の中学生たちはこれから復興していく町の力の源であり、これからの町の主人公です。
学校と地域の関係、町や仲間を思う中学生たちの気持ち、学校への地域の愛情と期待、そういうものを感じつつ、いまこのプロジェクトの意義がすこしずつ見えてきつつあるような気がします。

3:「思い出サルベージ」は、昨日からまずは未洗浄写真の展示が始まり、ようやく町の人たちと私たちの活動が向かい合うときが来ました。
http://www.town.yamamoto.miyagi.jp/jishin/pic_mono_open.html
そして、洗浄・デジタル化・レタッチ・展示・返却といった我々の進めている作業のすべてのフェーズがこれで実施されている状況になりました。
町からは人的支援や場所確保、道具の至急など多大な理解と協力をいただきました。東北大ボランティアサークルHARUの力もすばらしいものです。自衛隊には、水没写真の収集のほか、一連の作業のなかで不可欠なところで多大な協力をいただきました。
町で発見されたいまや20万枚となった水没写真を、本人の手にできるだけよい状態で渡すという、我々には重すぎたミッションの全体が、いま動き始めました。

ほっとすると同時に、今後をみて次の手を考えていくべきときです。

3-1:我々の取り組みについて、報道を見た他の自治体から問い合わせが相次いでいます。今後、こうした声にどのように応えていけるか。
3-2:この作業に青年団や婦人会のような町の人たちに参加してもらい、できたら今後を町役場と協力し合ってリードしていってもらいたい。
3-3:共有すべき写真(卒業アルバム、かつての町の風景など)を、技術と知識を駆使して、うまくデジタル化・共有する方法の確立。我々社会情報学会員らしい当初のミッションです。

全体を通して、私たちが町の復興における一番大事なもの、すなわち町の人たちの心と向き合っているということに気づきます。
今回の災害において、まず必要だったものは、自衛隊等による救助、そして喫緊の救援物資の確保、復興に向けてのインフラの整備などでした。
これはいわばもっとも基礎的な物質的なニーズへの対応であり、ニーズが量的に膨大で質的に一様であるがゆえに、自衛隊や政府等の国家レベルの支援が効果的でした。
その後、避難所運営、仮設住宅の敷設、保険や支援金の配布など、多様な被災状況に応じた支援が町役場を中心に行われました。
これらのフェーズでも、ボランティアは炊き出しや泥だし、交通整理、避難所支援などに関わり、我々もそうした中でニフティNTT東日本などと協力しつつ、避難所等の情報支援活動を行っていました。
また、報道はされませんが、多くの企業がこうしたフェーズで被災地の復興に携わっていました。
いま、そして今後は、上のニーズに加えて、ひとりひとり異なる人生や心の必要へのケアが長く考慮されるべきです。それがなければどんなもっともらしい復興計画も絵に描いた餅です。

最終的な復興とは、被災した方々一人ひとりの心が落ち着いて、それぞれの人生を再構築しはじめ、それがまちのひとたちが主体となっての創意と活気あふれるまちづくりとなって結実することだと思います。

なんとか正しい方向と微妙なバランスを見失わずに意味ある必要な関与を継続し、被災地の復興を見届けるという願を果たしたいものです。

JSIS-BJK 災害情報支援チームのブログ
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