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Yahoo!ブログ閉鎖によりYahoo!から移行しました。吉田の講義、考察などを書いていきます。

日記

春に寄せて

「善人なおもて往生す」「希望」という言葉は絶望を知る人のためのものなのだろう。「生」という言葉は死を知る人のためのものなのだろう。「意味」は無常と、「愛」は孤独と、「和」は怒りと切り離せないものなれば、命の深さは誰にも量りしれない。その量…

「ユニバーサル・デザイン」のパブリック・コメント

反省した勢いで、一矢報いる戦略を探す。いま浜松市では「ユニバーサル・デザイン推進計画(案)」に関するパブリックコメントを実施中だ。23日まで。まだいける。これだ!【基本目標(3)安心・安全なまちづくり】を見よう。お、浜松市の過去のユニバーサ…

自転車優先の交差点とは

浜松の交通政策は、自動車優先で歩行者や自転車を邪魔者扱いしており、それで中心部を活性化だの、副都心だの、まるっきり矛盾したことを言っていて、よくわからんなー。何を考えているのかなー。何も考えてないのかなー。何度かそんなことを書いてきた。そ…

基地のある町

浜松には航空自衛隊の基地がある。よく訓練の爆音が響いてくるし、通勤途中で目の前をE-767かな、巨大な警戒機が横切ることもある。僕の中で自衛隊は、なぜか「辺境」のイメージがある。十勝の雪の原野、樹林の広がる富士山の裾野、日本海の深い入り江の内奥…

「哲学の辺境」 オリエントのオリエンタリスト

僕は、浜松のことを心の中で「哲学の辺境」と呼んでいた。なぜなら、この町では哲学的な思いは意識されにくいように感じていたから。浜松には「谷島屋」という大きな本屋がある。サイードの『オリエンタリズム』(平凡社ライブラリー)を購入しようと思って…

センター試験から

センター試験が終わってひといき。受験生も緊張しているけど、負けないぐらい大学側も気を使っている。自分が受験したときもそうだったんだろうなーとふと思ったり。大学側としては、できるだけ条件が均等になるよう、よいコンディションで受験できるよう、…

海を見た午後のひととき

最近、このブログはほとんど自分だけの思考ノート化している。6日の文章なんて、ほとんど誰が読んでも意味不明だろうな、と苦笑しつつ。まあいいか。窓から海を見ると、普段は空と海の境界もはっきりしないで広がっている遠州灘に、太陽の照り返しがぎらぎら…

事例からの倫理、事例からの哲学 2007年の抱負

従来からの抽象的な哲学・倫理学理論というのがある。これに対して、個別性と自分、特定の社会、時代と出来事を無視しない事例からの倫理・哲学のあり方を求めている。まったく個別的な議論は学問としての価値を持たないだろう。倫理は、言葉にさえならない…

謹賀新年 時の流れに身を任せ

今年もよろしく。ここには日々の思いつきや感想、批評めいたことしか書いていないけれど、それはそれで自分の考えを整理するきっかけにはなっているようです。ときどき見てくれてる学生や遠くの友人がいるようなので、今年もあれこれ書いていこうと思ってい…

品と粋 自動車テクノロジー

自動車ってテクノロジーはなんだか下品な気がする。日本では、たくさんの人が自動車を利用し、たくさんの人が自動車産業に関わっているので言いにくい命題ではあるが(だけど私はそう思ってきた)。ただ、私自身も自動車に乗るようになり、またそのテクノロ…

アーレントとジェイコブズ

教員同士の研究会でアーレント『人間の条件』(前半)の研究会があって、たいへん刺激を受けたので、忘れないうちに書いておこう。アーレントは古代ギリシャにおいて、公的領域と私的領域がはっきり区別されていたと想定する。そして、ここからは次回の研究…

「アイ・ロボット」(映画)

「アイ・ロボット」という映画がある。眠れない夜になぜかこれを観る気になって鑑賞したので、ネタばれしない程度にコメントしておこう。人工知能、そしてロボットがこころを持ちうるのかという古典的なテーマを、アシモフの『私はロボット』(ハヤカワ)に…

思考停止問題2

思考停止については、批判によって対処できる。ただし、批判もまた思考停止的に生じることもある。私自身も何度も何度も、思考停止的に権力批判や資本主義批判、技術批判を繰り返してきた。それは批判と言うよりも、もはや単なる攻撃だ。それは動機がどうで…

思考停止問題1

小森陽一『レイシズム』とJ.ジェイコブズ『市場の倫理 統治の倫理』に共通するエートスがある。合理的な批判精神が倫理の戦略であるということ。小森によれば、レイシズム(人種差別など)は、特定の集団的特長に対して無根拠に価値付けされた言葉を、無批判…

自転車と街

最近、自転車を購入して街が近くなった。街にさっと出てちょっと用事を済ませて喫茶店で本を読んだりする。バスだと待つのも面倒だしお金もかかる。自動車だと駐車場も気になるし、騒音や排気ガスを市中に振りまくことなどで歩行者への引け目も感じる。歩行…

あさき・・

『あさきゆめみし』の宇治十帖。はじめて読んだ。・・「浮舟」が俗世から身を引く決意にいたるところがいまひとつ納得できない。ここの心理過程こそがこの話の核心なのに。「好きな二人の間で身が引き裂かれるー」とか悩みつつ、結局は「二人とも本当には私…

3-3 デジタル化個人情報の適切な利用

【事例】 1999年にスタートしたいわゆる「住基ネット」に対して、「個人情報保護に問題」として杉並区やいくつかの自治体は導入に反対ないし慎重な態度を示した。これに対して都と国は圧力をかけて住基ネットを強引に導入した。【point】 住基ネットは、すべ…

3-2 デジタル化のリスク

3-2 デジタル化のリスク【事例】Googleは、無料のweb検索サービスと、無料のメールサービス「Gmail」を提供している。Googleは両者のデータを持つため、両データを照合することが可能である。もし照合が実行されると、Googleはメールユーザーの検索履歴を特…

「生の器」を育てる

言語と倫理の問題に取り組んだウィトゲンシュタインの哲学の解説書を書いた野矢さんが、その解説のどこかで言語のことを「生の器」と書いていました(『論考を読む』です。たぶん。)。その言葉は、私にもなかなか共感できるのですが、都市もまた、われわれ…

静岡の町、倫理のバランス

そういえば先週は、静岡市で小さな学会で発表があって、その機会に街を歩きました。大道芸サミット?もあって、街はずいぶんにぎやかで華やかで、楽しげで、よかった気がしました。呉服町だっけ、粋な商店街で歩いていて楽しかったし、青葉通りという大通り…

学祭

週末、学祭がありました。わたしも学生たちといろいろ参加し、おかげでたいへん楽しかった。普段はわりと静かな静大の浜松キャンパスに、学内外の人があふれて、そういうのが好きな私にはたいへんうれしい光景、雰囲気でした。つねづね、浜松の街にも、静大…

民主党勝利!

というのは、アメリカの話。共和党の対アラブ政策には、ブッシュ親政権のころから私は懐疑的だったので、まずはよし、と思いました。これでブッシュ保守政権に対してリベラルな議会(新聞によれば「中道」勢力もかなり民主党支持にまわったらしい)が歯止め…

3-1 デジタル化によるメリット

【事例】 代表的なオンライン書店であるAmazonでは、ユーザー一人ひとりの購買履歴や趣味、性別、職業など個人情報を蓄積しておき、このデータベースを利用して、顧客の一人一人のニーズに合わせたB2Cサービスを行い、大きな成功を収めた。【point】 顧客の…

ハードディスク・クラッシュ

IBMいまはlenoboのTPX41を3月に購入して使っていたが、今朝自宅のテーブルの上で作業中、突然ハードディスクがクラッシュした。幸い、基本的なデータは、研究室のPCやUSBキーに保存されているものの、朝からの作業の成果が一瞬でアクセス不能になるし、授業…

浜松市 地下鉄の件

次は、難しい話題だ。これは市の命運をかけた大事業ということになる。やはり地下鉄が欲しい。市役所、繁華街、駅、できたら佐鳴湖や天竜川付近、中田島砂丘付近まで、地下鉄ができれば人はスムーズに流れ、各地に文化が育つだろう。街に、場所に応じた個性…

浜松市 市街地 国道と街路の設計

街中についても考えよう。浜松の町の中心街は、低地である沖積平野?部と洪積台地?の低い台地からなる。この取り合わせは、自転車での通行をやや不便にしている面もあるが、他方でこの町に変化を与えていて面白い面がある。浜松城などは、さすがにこの地形…

浜松市 自然とマッチした都市計画 海山川湖の生かし方

次に各論に移ろう。自然環境に合わせた町づくりという観点から、大まかな論点を私の視点からスケッチする。先日、バイクで浜松市内を走っていて、川を見かけた。馬込川だろうか? 大きさ的にも、場所的にも、なかなかよい川だと感じた。だが、夜だったせかい…

浜松の町 風水の必要?

前回、浜松の町について書いた後、またすこし考えたので書いておこう。浜松の町は、北を南アルプス(の末端)、東を天竜川、南を太平洋、西を浜名湖に囲まれている。こんなに恵まれた自然環境に囲まれていながら、浜松の都市設計ではそれがまったく生かされ…

「都市の品格」つづき 浜松は?

では、浜松はどうでしょう? 「品格」ってことをプラスの方向で話題にできそうな街並みは見当たらない。都市計画者たちは、それをどう考えているのだろうか。批判ばかりしてると悪いから、自分の考えも提示しておこう。私ならこう考えます。浜松の町には人々…

「都市の品格」 京都の町

ってことを、ちょっと考えた。週末に京都に行って自転車を借りて、学生時代のようにふらふら街を走った。・・・楽しい!鴨川べりの爽快な道、昔ながらのベンガラ格子の街路、比叡山や北山を望む大路、ところどころに古いお寺があって、ところどころ人がたま…